天堂と十六夜
「初めまして十六夜様。雁蔵共々お世話になってます」
茶色い着物を上品に着こなしている鶴も白髪で可愛らしいひとだった。雁蔵同様にくしゃくしゃな笑顔で挨拶をしてくれた鶴
「こちらこそお世話になってます。雁蔵さんに良くして頂いて……今日はよろしくお願いします」
鶴は十六夜に微笑んで総大将に向き合い正座して頭を下げた
「天堂様、うちのひとがいつもお世話になっおります」
「いやいや。ワシも助けてもらってるからな。あいこじゃよ」
天堂もにっこり笑って頭を下げた
鶴も十六夜という存在に驚いていた。総大将が唯一のひとを見つけ夫婦になったとは聞いていたがこんなにも若いとは
「天堂様の奥方様だから緊張してましたが、こんなにも儚くて可愛らしい方だとは思いもしませんでした、安心しましたよ」
歩ほほ、と笑った鶴。雁蔵も交えて話をして気張っていたのが解れてきた頃、十六夜の額や首に汗が出て顔をしかめた
「っ、……痛っ…!」