天堂と十六夜
桜李が産まれて十年。
妖怪は寿命が長いため発育も遅く、桜李がはいはいするようになったのは最近のことだ
毎日百鬼夜行を行うことや桜李の子育てをすることで毎日何事もなく過ぎていった
百鬼夜行から帰って来ると桜李と同じくらいの大きさで尻尾が二本ある茶色の猫又と桜李は遊んでいた
猫又は百鬼夜行に加わっていないが本家の近くに住み着いていて毎日、桜李の遊び相手に本家にやって来る
「だあ~」
猫又のもふもふの尻尾がお気に入りの桜李は掴んだり揉んだりして遊び、猫又も嫌がらずに尻尾で桜李の顔を擽っている
「猫ちゃん、いつもありがとね」
「きゅ~、きゅっ」
話せない猫又は十六夜の膝にすり寄ってから桜李と遊び始める
猫又のお陰で毎日が楽しく退屈しのぎになっていい
「また遊んでもらってんのか」
天堂が入ってきて遊んでいる様子を眺めていると猫又は三人に挨拶して帰って行った
寂しそうな桜李だったが十六夜が手を叩いて呼ぶと、嬉しそうにはいはいしてきた