天堂と十六夜
「おお~、速ぇな」
正座している十六夜の足に手をついてよじ登ろうとしている
十六夜が抱っこすると思いもよらないことがおきた
「……か、…ちゃ…」
びっくりして十六夜と天堂が顔を見合わせると桜李は両手を叩きながら笑っていた
「…桜ちゃん、もう一回」
「…かあ、…ちゃ、」
おぼつかないながらも、笑いながらまた母親を呼ぶ
十六夜が嬉しそうに笑って額と額を合わせると桜李は十六夜の頬を撫でたりぺちぺちと叩く
「あなたのことも呼ぶんじゃない?」
「どれ、呼べるか?」
天堂に渡して呼ぶのをじっと待っているとくりくりの目に涙をいっぱい溜めて上目遣いで父親を見つめる
「と、…ちゃ、」
「おおっ、もう一回言えるか?」
「ん~、と…ん、」
上手く言えずに手足をうずうずさせている桜李を励まして頭を撫でたりしていると
「とぅ、ちゃ……ん!」
「言えたじゃねぇかっ!」
嬉しさが爆発した天堂がぎゅっと抱き締めて高い高いすると声をあげて笑う桜李