天堂と十六夜
遠くに行かないでね、と言われたが本家から離れて遊んでいた
どんどん離れて辿り着いたのは桃色や薄紫色のコスモスの花が向こうまで大量に咲いている場所
「うわ~!…かあちゃんにあげよっ」
鼻唄を歌いながら彩りよく摘んでいく桜李は綺麗な景色に時間を忘れて遊んでいた
「……どうしよ、早く帰らなきゃ」
もう直、日が沈む
たくさん摘んだコスモスを両手いっぱいに抱えて来た道を走って戻っていると集団の妖怪が道に立ち塞がった
「な、なんだ……」
桜李がコスモスを落とさないように抱き締めて、妖怪たちを睨む
『貴様は天堂と十六夜の子だろう』
『無用心だな……』
『来てもらおうか、言うこと聞かねえならどうなるか、分かるな』
桜李は花を抱えて近くに落ちていた木の棒を片手に対峙した
『はは!そんなもので何が出来る…』
そう言った途端に一匹の妖怪に首を掴まれて、身動きがとれずに連れ去られてしまった