天堂と十六夜


十六夜はなかなか帰ってこない桜李を門の前に立ち両手を胸の前に当てて心配している


「もう暗いのに、どうしたのかしら…」


「まだ帰らねぇか?」


天堂が隣に来て一緒に道の向こうを見るがまだ姿が見えない



「こんなこと今までなかったのに…」



桜李は大切な一人息子。一人息子だから愛しさも余計に募るし、今後授かれない身体なのだから当然で何がなんでも守り通すと誓ったのに…


心配そうに俯く十六夜の頭を撫でた天堂は中に入り百鬼を集めた



「桜李が帰って来ねぇから、悪いが百鬼夜行を早めるぞ」


桜李様、大丈夫なんですか!

大変だ!

早く行かないと…



「十六夜はーー」



家に残れ、そう言おうとしたのが分かったのか十六夜は天堂に懇願した



「お願いっ、私も行かせて下さい…私にも責任あるし、心配で家で待ってられないの…」



親が子の心配をするのは当たり前。気持ちが分かった天堂は了承して数匹の百鬼に留守を任せて桜李の気配を追った







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