天堂と十六夜
疲れている桜李の猿轡と紐を外した十六夜は抱き起こした
「桜ちゃんしっかりしてっ」
天堂も膝をついて汗をかいている額を手で拭ってやっていると桜李は目を開けた
「とうちゃん、かあちゃん…おれ、にげなかったんだよ…すごいでしょ?」
力無く笑ったその言葉に十六夜は泣きながら頷いて頭を撫でた
「これ…あげようって、思ったんだけど、そのときに、つれて行かれちゃって…しおれちゃった…」
手を縛られても離さず、何時間も握っていたためコスモスはしおれていたのだ
「…ありがとね」
しおれているのはどうでもよく十六夜は大量のコスモスを受け取りながら桜李を強く抱き締めた
「おれ、ねむたい、な…」
助けに来てくれて気張っていたのが解れて眠くなってしまったのだ
「そうじゃな…早く帰って手当てしてから寝ような」
頭を撫でた天堂に頷いた桜李を十六夜は抱き上げて二人は外に出た