天堂と十六夜


ふふっと笑って桜李の濡れた頭を撫でる十六夜に桜李はかあちゃん、と声をかけて顔をあげた


「なあに?」


「今日はごめんなさい…」


少し怒ろうとしていた十六夜だが先に、しゅんとして謝られてしかも本当に反省しているようなのでやめた



「遠くに行かないでね、って約束破っちゃったけど………お花をお母さんにくれるためにあんなに一生懸命な姿見せられたら怒れないよ」


「…ほんと?」


上目遣いで肩を竦めて機嫌を窺ってくる桜李に笑った十六夜



「うん、今回は許してあげる………でもこれからは約束破っちゃ駄目よ?破っちゃったらお父さんにもお仕置きしてもらうからね」


「えっ…………ありがとう!」


お仕置き、に怯んだ桜李だが今回はお咎め無しということで喜び十六夜に抱きついた


「かあちゃんのむね、やわらかい……」


十六夜の胸に顔を埋めながらすりすりする桜李

「ん?」


「なんでか、分かんないけど、おちつくよ……」


「……ずっと抱っこしてたからだよ?」


「…へへ、………そ、…か」


言葉が途切れて桜李を見ると、十六夜の肩に頬を預けて眠っていた



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