天堂と十六夜
夜、百鬼夜行の時間がやって来た
「じゃ、行ってくるぜ」
門を出たところで十六夜は百鬼たちを見送る
「とうちゃんっ、おれも行きたいっ」
中から走ってきて天堂に抱きついた桜李の頭を天堂はがしがし撫でた
「駄目じゃ」
「なんでだよー!」
地団駄を踏んで頬を膨らませて怒っている桜李
「危ないからじゃ…」
「だいじょうぶっ、とうちゃんがいるからーー」
「駄目って言ってるだろ!……かあちゃんと居ろ」
天堂が本気で怒るところをあんまり見たことがない桜李は怖くなって何も言えなくなってしまった
十六夜に抱っこさせて行ってしまった天堂や百鬼たちを見て桜李が泣いてしまったので十六夜は自室へと向かった
「う~、ふぇ……とうちゃんの、ばかぁ!…ぐすっ」
正座している十六夜の膝に突っ伏してわんわん泣いている桜李の背中を撫でる十六夜は微笑んでいた
「ねぇ、桜ちゃん?」
「うっ、……な、に…?」
「お父さんの気持ち、知ってほしい…」
「とうちゃん、の…気持ち…?」
膝からくぐもった返事が聞こえて、十六夜が肩をぽんぽんと叩くと涙でぐじゃぐじゃになった顔をあげた