背中の彼
どうしようかな・・・・・・って焦らしておきながら、答えは決まっている。


並んで彼の洗ったお皿を私が拭く。その間は特におしゃべりをするわけでもなく、沈黙が心地よい時間。


「ありがとう」と手を拭き彼が言う。
「ごちそうさまでした」と私はぺこりと頭を下げる。



顔を上げると、ちょっと酔った彼は潤んだ目で私を見つめそっとキスをする。



そう、欧米人の挨拶みたいにすごく自然に。




彼の足にヤキモチを焼いて猫の彼女がまとわりついてくる。でも今彼は私に夢中で彼女は軽くあしらわれるの。


不機嫌に「ニャー」とひと鳴きして彼女は仕事部屋へ消えていった。


私たちはリビングのソファーで触れ合う。


一枚一枚と服を脱がされ、お互い生まれた時の姿になる。


月明かりを浴びながら、しばらく見つめあった後少しずつ唇は近づいていく。



・・・・・・そう少しずつ。




< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop