背中の彼
「どうした?梅干でも食ったか?」


うっそ?!ここで終わんの?もうちょっと、あとちょっとせめてキスはさせてよ。


「おい。外から見られっぞその顔」


月明かりの濃い藍色は夕暮れの淡いオレンジ色のシーンへ変わる。


目だけ横目で確認すると彼、淳之介がニヤニヤ見ていた。


・・・・・・まずい完全にバカ面を見られた。


「何見てんの?」そう言って少しこっちに寄り添うようにして私の目線をたどった。



その時だった、取り替えられようとしていた看板が眩しく反射し、向かいのビル目掛け点滅した。



その光を背中の彼が覗いていた。



・・・・・・ちょっと違うな。思っていたより濃い。



はぁ・・・・・・妄想終了。



「っていうか悪い。キスだけだから。マジその先はないから~俺咲ちゃん命だから!ねっ許して」

と彼が手を合わせ上目遣いで謝る。


・・・・・確かにね、童顔で女子よりの顔はモテるわな~。こうやって謝るってことは、私はいらないわけじゃないんだよね。


「ねぇ後ろ向いてみて」
「えっ?!何で?」といって彼は私に背中を向けた。


猫背な背中はちょっと違うけど・・・・・・まぁいいか。


「次やったら懲役10年ね!」そう言って背中を叩いた。




次はどの背中で妄想しようかな・・・・・・。


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