花は桜木、人は君。
「昨日はね、大学生の彼氏とドライブデートしたの!ラブホテルまで連れていかれてスイートルームでしちゃったんだぁ!」
「美姫はモテるからいいよね。年上の彼氏とか羨ましいよ。」
「紫園だって可愛いんだから作ろうと思えば作れるんじゃない?」
「いいのいいの。私は美姫みたいに可愛くないし、ね?ほら、授業遅れちゃうから行こ!」
「はぁーい!」
世の中には、物好きがいるものだ。
中学生に遊ばれるロリコンには、つくづく可哀想だと同情すら覚える。
美姫は授業サボりの常習犯。
先生からも見張り兼世話役を頼まれている。
まったく迷惑な話だ。
そして、美姫のグループ特有の遊びが、また今日も始まった。
遊びといっても、内容はとてもシンプルないじめ。
クラスの地味な子ばかりを狙う、ジャイアニズム全開のこの遊びは、一度狙われたらほぼ確実に被害者が不登校になる。
今のターゲットは西城美紀(サイジョウミキ)。
"美姫と同じ名前だから調子にのっている"
と勝手に美姫が判断してターゲットに決めたのだ。
もちろん私はなにもしない。
美姫に気に入られているからこそ築ける地位だ。
美姫の側近とはまた別のこの地位。
誰もが私の地位を狙っていることくらい、私だって知っている。
だか、私には嫌われる要素がない。
男子にだってソコソコモテる。
無論、付き合ったりはしない。
「友達として、大好きだから…」
こんな糞みたいな台詞を何回吐いただろうか。
私のプランは完璧なのだ。