不幸な女神は不幸を呼ぶ
1
不幸な女神に魅入られた
不幸なお嬢様がいた。
もう三年になるか。
三年間お嬢様は
ウエディングドレスを
着続けた。
毎日スーパーの店員に食料を
置いてもらうお嬢様。
食料置いた弾みに。
綺麗な装飾を施したベルが落ち。
ベルは美しく鳴り。
あの日の鐘の音が蘇る。
花嫁花婿はいずこへ。
いつまでたっても現れぬ。
とうに客人疲れはて。
花嫁は希望をまだ捨てず。
「スズランのブーケを持ってくる」
そう強く言い張った。
待とうど待とうど花婿は。
花嫁の前に現れぬ。
花嫁一人で歩きだし。
バージンロードを確認す。
思い焦がれた花婿は。
バージンロードには居ない。
花婿と花嫁が大好きな
スズランの花が散るばかり。
客人はお嬢様を嘲笑い。
ついに泣きだし飛び出した。
二人で乗る予定だった。
車にのって泣きながら。
二人で来る予定だった。
お屋敷に向かった。
用意周到な執事さん。
二人のために飾り付け。
彼女の涙に気づかずに。
一人の彼女にこう言った。
「なんとも美しい花嫁さまで」
きらびやかな飾り付け。
全ては二人のためのもの。
だけども彼女は一人きり。
怒った彼女は蝋燭の。
火を消してしまった。
飾り付けされたその部屋を
鍵をかけて閉じ込めた。
不思議がる執事さん。
追い出してしまった。
不幸の女神は気に入って。
彼女になんと同情し。
なにかしてやろと思ったが。
不幸の女神は見てしまった。
誰も訪れる事がない。
お屋敷に響くインターホン。
女神がみたその男。
手にはなんとスズランが。
まさかと思った女神様。
だけども彼女の大好きな。
花婿がやってきた。
彼は三年前。
不良の事故に巻き込まれ。
記憶をなくしさ迷って。
取り戻したのがつい最近。
二人は喜び幸せの
笑顔が満ち溢れてく。
それを見ていた女神様。
自分だけが置いてかれ。
それに恐れた女神様。
新聞紙の凶悪犯。
なんと彼の顔にして。
そのままポストに入れました。
二人が幸せに喜んで。
再び蝋燭に火をつける。
受かれ受かれの花嫁さん。
新聞紙をとりました。
新聞紙を詠みながら。
花婿へと歩み寄る。
花嫁は驚愕し。
花婿が殺人鬼。
それをすっかり信じ込み。
恐怖に震えました。
ついな花嫁は気が狂い。
花婿を突き刺した。
椅子に座り込む花婿。
そのまま飾り付けされた部屋
鍵がつけられもう二度と。
開けない事を決心す。
不幸の女神に魅入られた。
お嬢様はまた不幸。
女神に幸せもぎ取られ
さらに不幸のどん底へ。
END。