Ib〜絵空事の世界〜
Ib
プロローグ
白塗りの壁、白塗りの床
思わず病院を思わせるそれは「ゲルテナ美術館」と称されていた
「さぁ 着いたわよ ……イヴは美術館 初めてよね?
今日 観に来たのは『ゲルテナ』っていう人の展覧会で……
絵のほかにも 彫刻とか……色々と面白い作品が あるらしいから
きっと イヴでも楽しめると 思うわ」
真っ白な美術館と同調してしまいそうなほど真っ白なブラウスに、
真っ赤なスカートとそれに合わせた赤いリボンを胸元で結んだ、
9歳頃の茶髪の少女は、同じく綺麗な赤いドレスを纏った母親の話に耳を傾けていた
「受付 済ませてしまおうか」
青いスーツをかっこよく着こなした父親は母親に呼びかけた
「そうね あと パンフレットも 貰いましょう」
母親がそう答えると、2人は目の前にあったカウンターへと足を運んだ