Ib〜絵空事の世界〜
イヴは、とても寡黙な少女だ。
もっと幼い頃から、あまり泣かない女の子で、それをいつも両親が褒めてくれた。
それからというもの、イヴは両親が笑ってくれるならと、泣かなくておとなしい子供に育った。
母親と父親が受付に行っている間、イヴはあたりを見渡していると、
大きな魚の描かれたポスターがカウンターの後ろに貼られているのに気がついた。
左上に大きくGと書かれてある。
恐らくゲルテナの作品の一つなのだろう。
イヴは何故かその絵が気になった。
「おかあさん」
「あら なに? イヴ」
「先に観てても いい?」
「え? 先に観てるって? もーイヴったら……仕方ないわね
いい? 美術館の中では 静かにしてなきゃ ダメよ?
……ま アナタなら 心配ないと思うけど
他の人の迷惑に ならないようにね」
そう母親に了承を得たイヴは、1人で美術館の中をまわることにした。