Ib〜絵空事の世界〜
その先にもたくさんの絵画や彫刻があった。
読めない漢字があったり、表現の難しい絵画があったりしたため、
イヴは半分ほどしか理解ができなかったが、どれもが新鮮で観るのが楽しかった。
『せきをする男』『個性なき番人』など様々だ。
その中でも特に印象に残ったのは、ある彫刻だった。
それは大きな薔薇の彫刻で、真っ赤な花びらが数枚落ちているところまで再現してある。
説明書きには
《『精神の???』
一見美しい その姿は
近づきすぎると 痛い目に?い
??な肉体にしか 咲くことができない》
「なんだか少し 私に似ている気がするなぁ」
イヴはやはり半分ほど理解できなかったが、確かにそう感じた。
一階の展示物は全て見終わったので、イヴは2階に行ってみることにした。
2階にも様々な絵画や彫刻が展示されている。
『心配』という目が覗いているような絵や、首のない女性のマネキンのようなものに赤、青、黄の色違いのワンピースを着た彫刻、
歪な形をした『指定席』などがあった。