白銀の女神 紅の王(番外編)



「エレナ様、冗談抜きでシルバ様はきっと寂しがっております」

「シルバが寂しがるなんて想像もつかないけど…」


常に冷静沈着で感情をあまり表に出さないシルバが私が城を出ただけで寂しがる姿など想像できない。

何も言わずに出ていったのは本当だけど、ウィルに行き先を告げてきたし、驚きもしないと思う。




「シルバは明日からノース地区に行く予定で、どちらにせよ何日かお城をあける予定だったから同じことよ」

「それはそうですけど…」


数週間前から決まっていたスケジュールはニーナも知っている。




「明日からの会議は大事な会議なんでしょう?万が一シルバに風邪が移ったら大変だもの。シルバも子供じゃないんだから分かってくれるわ」


そう言って微笑めば、ニーナは難しい顔を和らげ、短いため息を吐いた。




「そうですね…でも、分かっていてもどうしようもないのが男という生き物です」


何か思う節があるのだろうか、ニーナの言葉には何故か妙な説得力があった。

腕を組んで頭を抱える姿がなんだか面白くてクスクスと笑みがこみ上げる。




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