白銀の女神 紅の王(番外編)


二人の間に流れる微妙な空気に胸がむかつき、自然と眉を寄せてブルームを睨みつける。

俺の視線に気づいたブルームはまずいと思ったのか、柔らかく笑っていた顔をひきつらせながら「今日俺たちが来たのはだな…」と口を開いた。



「お前の風邪が治ったら中央に発つと聞いて来たんだ。ほらノーラ」


ブルームはそれまで隣でそわそわとしていたノーラの背を押してエレナの前に出した。




「えっ…あ…」


突然押し出されるように前に出たノーラは弾かれたように顔を上げ、ブルームの方を見上げるが、ブルームは知らん顔をした。

ノーラはブルームをキッと睨むも、諦めた様子で正面に立つエレナを恐る恐る見る。




「エレナ様…あの…」


エレナと視線が合った様子のノーラはそれまでの態度を一変させ、眉を寄せて口をキュッと結んだ。

ブルームを睨みつけた視線や見た目から強気な性格をしているであろうノーラはきっとプライドも高い。

しかし、次の瞬間、ノーラは床に頭が着きそうなほど腰を折り曲げ、頭を下げた。





「すみませんでした!」


深々と頭を下げて、起きあがったノーラの顔には反省の色が垣間見える。

これにはエレナも驚いたようで、言葉も出ないほど呆気にとられた様子だ。



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