白銀の女神 紅の王(番外編)
「大変だったでしょうね」
声を落としてそう言うと、ニーナは私よりも悲痛な表情を浮かべて口を開く。
「それがそうでもないみたいなんです。フェルトさんもご両親を亡くされたシルバ様が相当荒れていると覚悟したようなんですが、シルバ様は涙一つ流さず、悲しみさえ顔に出さなかったそうです」
「なんだかシルバらしいといえばシルバらしいけれど、それはなんだかとても悲しいことよね」
それからは誰も口を開こうとせず、荷馬車に揺られながら時間は過ぎていった。