白銀の女神 紅の王(番外編)
「ブルーム!」
「げ……」
その声は明らかに女性のもので、どこか怒っているようにも聞こえる声色を聞いて、ブルームの表情がげんなりしたものとなる。
「ブルームどこにいるの?いるのはわかってるのよ!」
叫び続ける女性にブルームは耳に手を当ててやり過ごす。
「応えてあげないんですか?」
「いいんだ。あいつに見つかると面倒なことこの上ない。大体何で俺がここにいることを知ってるんだ」
口を尖らせて小さな声でそういうブルームは本当に面倒そうだ。
皆で息をひそめていると、その女性は叫ぶことをやめて大きな溜息を吐く。
諦めたのだろうかと思ったが、今度はなで声で口を開いた。
「アベルーココットー?」
女性が次に呼んだのはアベルとココットだった。
アベルとココットはぴくりと反応して声のした方を見たが、慌てたブルームは口の前に人差し指を持ってきて気を引こうとする。
素直なのか、遊びと思っているのか、アベルとココットは小さな手を口に当てた。
ブルームがホッと安堵したのもつかの間――――