白銀の女神 紅の王(番外編)
サウス地区に来ていたのかと言ったあたり、ノーラはやはりこの地区に住まう民ではないのだろう。
「ここにまで追いかけてくるなよな。大体その派手な格好をしてくるなと何度言ったら分かるんだ」
「そんなの私の勝手よ」
元来強気な性格なのか、ノーラはブルームの言葉をひと蹴りする。
そして、ノーラはブルームから私へと視線を移す。
なんだか睨まれているのは気のせいだろうか。
射るような鋭い視線が浴びせられ、いたたまれない気持ちになる。
「最近ブルームがフェルトの所ばかりに行ってるっていうから見に来たんだけど、足しげく通っている理由はその子?」
「は?」
どんな言葉が浴びせられるのだろうかと覚悟していたが、意外にも予想していたような言葉とは違った。
てっきり、容姿や素性について聞かれるのだとばかり思っていたのに、ノーラは尚もブルームを責めていた。
ノーラは私と同じく呆気にとられたブルームにカチンと来たのか、更に声を荒げてブルームに詰め寄る。
「とぼけないでよ。その子目当てでほぼ毎日ここに来てるんでしょう?知ってるのよ」
「ちがっ…俺は毎日薬を持ってきてやってたんだ」
ノーラのストレートな言葉にやっと意味を理解したブルームは慌てて否定の言葉を並べる。