白銀の女神 紅の王(番外編)
やっぱり貴方は私の光だった
太陽が厚い雲に隠れ、どんよりと重い空気が漂う午後。
窓の外の厚い雲を見上げながら今日の洗濯物は部屋干しかな、と思いながら考えを巡らす。
フェルトの家で世話になってもう6日が経とうとしていた。
家事や掃除など一通りのことは習い、やっと一人前に出来るようになって任せてもらうようにもなったけれど、相変わらずフェルトとの距離は縮まっていない。
初対面の時のようにあからさまに嫌われ、避けられている訳ではないが、やはり会話は続かない。
シルバの育ての親であるフェルトに少しでも認められたいという気持ちは強く、この際だからちゃんと話ができるようになるまでフェルトの家にお世話になろうと思っていた。
しかし、実のところフェルトに認められたいと思う一心で少し無理をしてしまったと反省している。
といううのも、この数日間忙しく動いていたためか、風邪をぶり返してしまったかもしれないのだ。
翌日熱が引いたのは確かだが、体のだるさはあり、そのだるさを引きずったまま家のことをしていたことが原因だろう。
けれどこのことをニーナに言うとまた部屋に押し込められてベッドに縛り付けられることは必至。
フェルトに変化の兆しが見えかけている今、それは避けたかった。
幸いにも熱はあまりなく、体もそんなにだるくないため、これくらいなら普通に生活できる。
もうここに来て一週間が経とうとしているし、あともう少しだけ頑張って、それでもだめならお城に帰ろう。