白銀の女神 紅の王(番外編)
「どうしましたか!エレナ様!」
すると次は家中に響いた私の悲鳴を聞いた護衛と侍女が駆けつけ、なんとも罰の悪い感覚を味わう。
「ごめんなさい、ぼーっとしていた時に声をかけられたから驚いて…」
まだドキドキと早鐘を打つ心臓を落ち着かせながら、握りしめていた手紙をポケットに忍ばせる。
護衛は何事もなかったことにホッと安堵の表情をにじませ、ブルームは申し訳なさそうに口を開いた。
「すまないな、外から声をかけたんだが反応がなかったから勝手に入ってきたんだ」
「大きな声で呼んでごめんね」
呼びかけられて悲鳴を上げた私の方が悪いというのに、眉尻を下げて謝るアベルとココット。
慌てて足を折りアベルとこココットの小さな肩に手を置く。
「私こそ驚かせてごめんなさい。今日も遊びに来てくれたのね」
「こいつらがどうしてもっていうからよ」
「いいんですよ。私も二人が来てくれて嬉しいから」
アベルとココットと会って以来、二人は毎日ここへ遊びに来ていた。
時には一緒に遊んだり、時には私たちの手伝いをしてくれることもあった。