白銀の女神 紅の王(番外編)
「まぁ、俺はこいつが気に入ったから、返す気はねぇがな」
「お!お前物好きだなー」
私を拘束した男をはやし立てる男たち。
「興味がないのならお前たちはそいつらの見張りでもしてろ」
「やだっ……やめて!」
無駄だと分かっていてももがき必死に抵抗するが、男の力には敵わず、その場に押し倒される。
地面に押さえつけられた衝撃で後頭部を打ち、一瞬目の前がチカチカとした。
「エレナ!」
ブルームの声が森に虚しく響く。
鈍痛で頭が鈍っているのか、ブルームの声がやけにゆっくり聞こえる。
仰向けに押さえつけた私に馬乗りになった男はニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべて私のローブに手をかけた。
このままでは男の思うがままになってしまう。
あともう少し、あともう少ししたら助けが来るはず。
最後の勇気を振り絞って目の前の男の手に噛みついた。