白銀の女神 紅の王(番外編)


男の言う通り、私たちは二人だけの誓いを結んだあと、結局正式な婚儀を上げていない。

それは端から見れば私はまだ妾に見えているのかもしれない。

男たちは目の前にその女がいると知らずに下品な声でひとしきり笑った。




「もしこいつがその寵妃だったとしても国王は見逃してくれるさ」


そう言って馬乗りになった男が私の服に手をかけて脱がせようとした時だった。











「さぁ、それはどうだろうな」


頭上から冷ややかな声が降ったかと思えば、男が振りかえる間も与えないほどの速さで銀色の剣が男の首にあてられる。

背後から剣をあてられた男は体を硬直させ、私の服に手をかけたまま固まった。

周りで見ていた男たちも何が起こったのか分からない様子で呆然と立ち尽くし、ブルームとノーラも突然現れた第三者に驚愕の表情をしていた。




「そいつから手を放してゆっくり立て」


苛立たしげな舌打ちの後、冷ややかな声の男は有無を言わせないかのように命じる。

私に馬乗りになった男は自分に言われたとは思っていないのか、身を強張らせたまま動かない。



「早くしろ。死にたいのか?」


首にあてられた剣の角度が変わり、男の首に赤い血が滲んだ。



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