白銀の女神 紅の王(番外編)


しかし…――――



「あッ…!」

「ッ…ココット!!」

「アベル……」


ココットと呼ばれた少女が太い幹に足を取られて転び、前を走っていた少年が慌てて駆け寄る。

子供たちの前で馬から降りると、アベルと呼ばれた少年が俺を見上げる。



「お兄ちゃんもあの人たちの仲間?僕たちを捕まえに来たの?」


少年は少女を守るようにして抱きしめ、震える声で俺にそう聞いた。

あの人たちの仲間?捕まえに来た?何のことを言っているんだ。

こんな森で子供狩りでもやってるのかサウス地区は。

そんな冗談めいたことを思いながら子供たちの前で足を折る。

すると子供たちはあからさまにビクッと体を震わせて今にも泣きだしそうな顔になった。




「俺はお前たちの敵じゃない」


他に気遣ってやれる言葉を持ち合わせていない俺はただそう口にして、少女の足から流れる血に布をあてた。

少女は一瞬眉を寄せるも、驚いた顔をして俺を見る。



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