白銀の女神 紅の王(番外編)
侍女は白黒を基調とした侍女服から地味な色合いの麻の服に長めのスカートをはき、護衛たちも体中をかためる鎧と腰に添えた長剣をはずし、侍女たちが着ている麻の服と同じようなものを着ている。
「みんなごめんね…私のわがままで連れ出しちゃって」
首を横に向けてそう言うと、侍女と護衛たちは目を丸くした後、笑った。
「そんなことをお気になさらずとも私たちはエレナ様の行くところにご一緒させていただきます」
「そうですぞ、エレナ様。我々の主はエレナ様なのですからな」
「シルバ様は我々よりも剣が達つので護衛の必要はないとおっしゃるし、我々が守るのはエレナ様しかいないんですよ」
侍女と護衛は口々にそう言って陽気に笑った。
「みんなエレナ様の風邪を口実に外に出ることが出来て嬉しいんですよ」
荷台の中の和やかな雰囲気にニーナもクスクスと笑う。
すると、突然ゴトンと荷馬車が何かの上に乗り上げて、大きく揺れる。