白銀の女神 紅の王(番外編)
「お前さんを認めてやるよ」
「え?」
不意に告げられた言葉に思わず聞き返すと、フェルトは罰が悪そうに咳払いをして口を開く。
「お前さんをその子の妃として認めてやると言っているんだ」
「あ、ありがとうございます」
フェルトに認められた理由はわからないが、シルバの母親代わりの人に認められたことはとても嬉しく素直に喜んだ。
いつも私を見るときは眉間に皺を寄せて小難しい表情を浮かべていたフェルトだが、あきらめたように溜息を吐き、眉尻を下げて私を見据える。
「愛想笑いもしなかったその子があんなにも柔らかな笑みをさせるんだ、お前さんは間違いなくその子の"特別”なんじゃろう」
突然そんなことを言い出すフェルトになんだか恥ずかしくなって何と答えたらよいのか浮かばなかった。
パクパクと口を開くが言葉にならない私にフェルトは苦笑する。
「その子の足を引っ張るような女だったら引きずりおろしてやろうと思うたが、お前さんはこの家のこともようやった。子供たちの面倒見も良いようじゃし、お前さんがこの国の正妃になれば世継ぎも安泰じゃろう」
”世継ぎ”
その言葉にピクリと反応し、浮上しかけていた気持ちが沈んだ。