片想い上手
なかば
もう秋も過ぎカレンダーは12月になっていた。
ほんとにあっという間だったと思う。もうちょっとで卒業だ。
その日もいつも通りに学校に向かう。
彼女とは特に進展もなかった。まああっちには彼氏もいるし当たり前なんだけど。
僕には奪い取るとか積極的にアタックなんてことはできない。
いわゆる草食系と呼ばれる部類なんだろうけど勝手に人を肉食だの草食だの言ってる人にあまりいい気持ちはしない。
仕方ないじゃないか。気付いたらそうだったんだから。わかってはいるけどどうしようも出来ないんだから。
そんな事を考えながら向かい、学校に着くといつもの僕の席に座る。
そして授業が始まると後ろから彼女の背中をずっと眺めて授業が終わる。
そういう日が毎日続いた。
この頃はもう自分の想いは叶わないとはっきり痛感していたし
夏の頃あった希望もすっかりなくなっていた。
唯一思うことと言えば彼女が彼氏と別れてくれないかなとかで。
そんな事しか考えられない自分がすごい情けなくて恥ずかしかった。
それでも彼女の幸せを正直には望めないでいた。
その時は自分が大嫌いでしょうがなかった。
自分の顔、体、声、性格、爪ですら嫌いだった。
もしも僕が彼女のタイプだったら。
なんてどうしようもない事ばっかり考えては1日は終わっていく。
そんなこんなでもうクリスマスだ。
僕は彼女とクリスマスを過ごしたい。なんて望んでいたけど。
それが叶うはずもなく話しによると彼女は彼氏とクリスマスを過ごすらしい。
SNSには彼女が彼氏のために作ったケーキの画像がのせられていた。
そのケーキが僕のための物だったらいいのに。まずクリスマスなんて無ければいいのに。
こんな恋人達のためのイベントは嫌いだ。
なんて考えてる自分を惨めに思う
こんな日はなにも考えずに眠ろう。あっという間に過ぎてくれるだろう
もう日もくれて寒くなってきている。皮肉にもホワイトクリスマスになった。
窓の向こうには雪が降っている。
それを見て大きくため息をつく。その時携帯に着信がはいる
電話だ。しかもそれは彼女からだった。
すぐにでてみると様子がおかしい
彼女は泣いていた。
僕がどうしたの?大丈夫?と言っても彼女はずっと泣いてるばかりだ。
とにかく僕は彼女からなんとか今いる場所を聞き急いでそこに向かった。