片想い上手
彼女は学校から少し離れた公園のいた。
雪も本格的に降ってきていたが幸いにも屋根があったからなんとか大丈夫そうだった。
彼女はベンチに座っていて隣にはケーキが入ってると思われる入れ物があった。
電話の時ほどでもなかったけどやっぱり彼女は泣いている。
しばらく何も話しかけれないでいると彼女の方が口を開いた。
あのね、私付き合ってた人に降られちゃった。なんか好きな人が出来たんだって。ひどいよね。しかもよりによってクリスマスに振るなんてさ。
そう言うと彼女はまた泣き出した。声をあげて泣いている彼女を僕はただ見ていることしかできなかった。
優しい言葉をかける事も慰める事も。抱きしめる事も出来なかった。
その時間がはひどく辛かった。痛かった。泣いている彼女を見ていると僕まで泣いてしまいそうになる。
彼女の恋が終わってほしいと僕は少なからずも思いそう願っていた。それで実際に彼女の恋は終わった。
でもその結果僕はなにを得た?
彼女は目の前で泣いているのに。
少なくとも僕はそれを望んでいたんだ。
彼女が目の前で悲しんでいるのに僕は、ほんの少しだったけど、一瞬でも彼女の恋が終わったことを喜んでしまった。
僕は……僕は …なんて最低なんだ!彼女の笑顔をずっと見ていたかったのに。
泣いているところなんて見たくなかったのに。
僕は……僕は………!!
彼女の隣で僕も一緒に泣いていた。
街のイルミネーションも公園の灯りにも降り積もる雪でさえも全てが悲しく思えた。
涙がずっと止まらなかった。