雪の結晶
「えー…課題してない奴ー、居残りねー」
始業式も終わり、今は課題点検だ。
まあ?
私はやってますけども…
「愛美、やったの?」
「やりましたー」
机に寝そべりながらヒラヒラと私に手を振る愛美。
「ならいいや」
「……心配性真里香」
「るさいっ!」
確かに言えてます…。
でも!愛美は課題やらないんだもん!いっつもだから、しかたがない。
「はーい次、竜川くんね」
「うぃーすっ」
愛美とコソコソ話してると、大分番が近づいて来ていた。
ちなみに、愛美は私の席の後ろ。
優来は、斜め前。
「あら、意外。竜川くんパーフェクト」
「優来裏切りやがったなぁ!」
「なんでそうなる!」
へぇー
優来、パーフェクトか。
先生の言う通り。意外かも。
「ははーん♪惚れてしまったかー真里香」
「…は?」
「え?だってさっきから俺のことばっか見てんじゃん♪」
「……自惚れるな」
「えーー」
ヤバイヤバイ。
ばれるかと思った。
ホントは少し見てたんだよねー。
「よーし、点検終了!チャイムがなったら即解散」
「やったー♪」
「どっか寄って行くー?」
「いーね♪カラオケ?」
先生が教室を出ると、皆はワイワイ話し始めた。
キーンコーンカーンコーン……
その時、チャイムが鳴った。
ガラガラッ…
「帰ろ帰ろー♪」
「カラオケ行かない?」
「行く行く〜♪」
皆ガヤガヤと、帰り始めた。
私も帰ろ。
「愛美、帰ろー?」
「あ…ごめん。今日バイト入ってんだ」
「そっかー」
「ホントごめん!」
愛美は両手を合わせ、頭を下げた。
「いーよ。行ってらっしゃい♪」
「ありがと!……よし、じゃねー」
「うん、バイバイ!」
私達は、教室の中で手を振り合い、別れた。
「…よし、私も帰ろっと」
机の上の鞄を手に取り、教室を出ようとした。
「待てよー」
「…え?」
空耳か?
教室には誰もいないはず…だよね?
恐る恐る教室を覗く。
「まだいますよ〜?」
「……」
そこには、無表情で手を振る優来がいた。
なんだ。こいつか。
そう思いつつ、再び教室に入った。
「…何よ」
「冷たいなー真里香」
「何?」
ため息一つついて、再び聞いた。
すると、優来はニカッと笑った。
「一緒に帰ろ♪」
ドキッ…
あまりの笑みの輝きに少しドキッとした。
「……なんで」
「俺一人だから」
「あ、そう……いーよ」
「……」
そう答えると優来は固まってしまった。
どしたんだろ。変だな。
「どしたの?」
「…ホント?」
「はぁ?」
呆気ない言葉に声が漏れた。
何、コイツ。
一緒に帰ろって言ったのあんたじゃん!?
「マジで帰ってくれんの…?」
「何よ今更。いいわよてか、優来が帰ろって言ったんじゃん」
私がそう言うと、優来は満面の笑顔になった。
え…?
ど、どうしたんだ?
すると、パシッと手を捕まれた。
「うん、帰ろう!」
「は?…うんまあ、うん」
と言うと、私の手を引っ張り走り出した。
「え!?ちょ、優来!?」
私も引っ張られながら走った。
「はぁー…疲れた」
正門のところでやっと優来は止まった。
「さぁ帰るぞ!真里香!」
「…うん?」
優来は子供のようにはしゃぎ回っている。
初めて見た。
でも、なんか可愛い。
そして二人並んで帰った。
色々話してると、優来があっと言った。
「何?」
「真里香!ゲームしねぇ!?」
「え…テレビゲーム?」
「違う。賭けするんだよ!」
「え…賭け?」
「ああ!」
別にいいけど…
優来の目は何か企んでいるかのように見えた。
「やる?」
「あ、うんやる」
私もついついそう答えてしまった。
この後何が起こるかも知らずに……