雪の結晶
「ばかだなぁー真里香」
「それを言うな!」
次の日の昼、私は優来との賭けの話しを愛美にした。
愛美は、肘を机についてため息をついてる。
しょーがないじゃん。
優来、意外と天才くんなんだもの…
すると、勢いよく教室のドアが開いた。
「真里香ー♪パン買って来てー」
優来…。
お前今、教室出てたよね?
ついでに買ってこいよ!
「……」
「真里香?」
「あー、はいはい分かりましたよ!」
「よろしくー♪」
自分の席についてヒラヒラと手を振る優来にムカッとした。
それを見た愛美は私の肩に手を置いた。
「……ドンマイ」
「笑顔で言うなー!」
愛美もついて来てくれるようだ。
「愛美、優来のこと好きじゃないの?」
購買へ行っているとき、私は愛美に尋ねた。
「うーん、別に?」
「え?」
「好きな人他に出来たし♪」
「え…誰!?」
「4組の大田君♪」
あんたってホント、乗り換え早いね…
口には出さず、心で呟いた。
乙女は傷つきやすいからねー…
「告るの?」
「うん、いつか言う♪」
「あ、そう…」
なんて話ししつつも購買に着いた。
次の日。
「真里香ー日直代わってー」
「………うん」
休憩時間。
「めんどくさいからノート写しといてー」
「………うん」
掃除時間。
「寒いから、雑巾洗ってー」
「……うん」
私は、下僕のように振り回された。
そして最終日の放課後…
「やったー♪終わったー♪」
私は両手を上に上げ、くるくる回った。
「バーカ、まだ終わってねぇーよ」
「え…」
私は硬直…
終わってないだと…?
「は?何言ってんの?放課後ですけど?」
私は、グランドで部活をしている人達を指で指した。
「俺の部活、見に来い」
「は?」
「レモンハチミツ漬けを差し入れに持ってこい。いいな?」
「……」
「命令…」
「…………はい」
「よし、じゃまた後で」
優来は呆気なく教室を出た。
私に部活を見に来いと?家に帰り、差し入れ作って、また学校に?
………。
「優来のバカー!!いつまで私を振り回すつもりだー!」
私は片手に鞄を持ち、教室を飛び出した。