雪の結晶
バスケ
「……よし、出来た」
私は素早く家に帰り、レモンのハチミツ漬けを作った。
何回か作ったことはあったので10分くらいで出来上がった。
「ふぅ〜持ってかなきゃ」
私は、出来上がったレモンをタッパーに入れ、家を飛び出した。
「こっちだ!」
「ボール回せ!!」
「ヘイ!」
わぁー…
やってるやってる。
学校に着いた私は体育館入口を覗いた。
「えーと、優来は……うわっ!」
優来の方に目を向けると、その後ろには優来目当てらしき女子がたかっていた。
「こっちから覗いて良かった……」
私は、ふーと息を着いた。
「今日はここまで!」
「ざいました!」
おっ……!
体育館内に目を向けると調度終わったみたいだ。
「あっちー」
「疲れたー…!」
みんなぞろぞろと更衣室に行っている。
「優来くーん!」
「おーい♪」
あらあら…
お呼びだねー。
呼ばれている優来に目をやると、優来は女子の方には目も向けずわたしの方へズンズン歩いてくる。
「真里香!持って来た?」
「え…あ、うん」
私は、スポーツドリンクとレモンのハチミツ漬けが入っている袋を前に出した。
「お!サンキュー♪」
優来は受け取り、中に入ってあるスポーツドリンクを手に取った。
うわ、よく見れば汗だらだ。
でも、気持ち悪感が全くない。
なんか、爽やか?みたいな感じた。
「何あいつ…」
「優来くんに近づいてる
し…」
「顔がいいからって、いい気になりやがって…」
「帰ろ帰ろー…」
うう…
嫌な視線を感じる…
まあ、優来と話してるときはこんな感じに毎回言われてるから平気。
だけど…
私は、優来を見上げ思った。
「ん?何?」
私の視線に気づいたのかスポーツドリンクを飲みながら言った。
「あ、いや。いいの?女の子達…」
私は、上手くごまかした。
いつもは、すぐに駆け寄るのに、今日は違う。
「ああ、いーんだよ。毎回来るし、はっきり言ってウゼー…」
へぇ。
優来でも厳しいときはあるんだな。
愛美の言った通り。
「真剣なんだね」
「ああ、好きだからな♪」
ニッコリ笑って優来は言った。
どきっ…
まただ…。
優来の笑顔に私、最近反応してる…
うーん…あ!
もしかしたら大きな病かも!?
「あ…どうしよ」
「は?何が?」
私の急な発言に優来はぽかんとしてる。
私は、気にせずなんの病か考えてる。
「…あ、あの、竜川 優来くん。話し出来ますか?」
「え…?」
可愛い声が聞こえ、私ははっとした。
振り向くと、綺麗な顔をした女の子が立っていた。
「か、可愛い…」
自然に声が出た。
「いえ…そ、そんな」
彼女は照れ臭そうに、一歩後ろへ引いた。
可愛い…
男子は、こう言う子が好きなんだなって思った。
「竜川くん、借りてもいいですか?」
彼女は、上目使いで言っている。
優来は、平然としている。
「真里香…」
優来は不意に心配そうな声を出した。
「あ、いいよ!話して来てください!」
とっさな発言。
「じゃ、借りますね」
優来は私の顔を見ながら、彼女に着いて行く。
私は、それを見ていた。
“行かないで”
目から一筋の涙がこぼれた。
“きっと、告白だよ。行かないで”
心の中の私が言ってる。
なんで?
どうして…?
いいよなんて言うんじゃなかった。
後々後悔…
ああ、どうして自分の気持ちに気づかなかったんだろう…
私…
優来のこと、好き。
誰もいなくなった体育館の入口でしゃがみこみ、心で呟いた。