男なら♪
「あれ?」

 佐奈田は人影に気がついた。

 デカイ。

 近くに行かなくても男子であることは間違いない。

 そこには三年生の柳本武がいた。身体も大きく、腕力も強くみんなに恐れられていた。後輩たちの間ではブカデンと言う暗号のようなあだ名で呼ばれていた。

 ブカデンはバナナを食べていた。

「連れてきました」

 と、チョロはブカデンの前で止まった。

「おう!」

 と、ブカデンは言った。

「……」

 佐奈田は女子を紹介されると思っていたので、男子が目の前にいるで、言葉が出なかった。

 最悪だ。


「センコウにちくったのはお前か?」

 と、ブカデンは言った。もちろんチョロに向かってである。

「あ、いえ……」

 チョロは歯切れが悪く、下を向いたままだ。
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