背徳の愛
「じゃあ父さん達は、挨拶もあるし会場に行くから」
「はい」
にっこり微笑んで、長年演じてきたいい子の顔をする。
我ながら、女優になれるかもしれないと思ったほどだ。
パタンと閉まった扉の前で佇む私は、背後からきつく抱きしめられた。
「…大輔さん」
「百合子」
その腕で、もっとぎゅっと抱きしめて。
私のにおいも身体の柔らかさも忘れないように。
私の初めてをすべて捧げたのだから――。
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