男子校生の非日常
2
「何がイケてんの?」
声がした方を振り返れば、そこには顔を真っ赤にして、何かを耐えているような姉ちゃんの姿。
やべぇ、思わず心の声が漏れ出てしまった。
「別に」
素っ気なく返事をする俺を、
「ふ~ん」と、まるで全てを悟ったかのような目付きで見てくる姉ちゃん。
それをよそに、少し顔が熱くなるのを感じながら、もう一度、姉ちゃんを意識しながら鏡を見つめた。
すると、姉ちゃんは踵を返し、スタスタとスリッパの音を響かせてリビングへ戻ったようだった。
暫くして、自分の部屋に戻った俺は、鞄と体操着を手にして玄関へと向かう。
その途中にあるリビングからは、オカン
と姉ちゃんが何やら楽しそうにはしゃいでいる声。
俺はそこに「行ってきます」と、一言かける。
そして、「いってらっしゃい」と、義務的な挨拶を聞いてその部屋を後にする。
「ねっ」
「あらやだ、本当だわ」
そう言って笑いあう二人の声を背中に受けながら、玄関のドアに手をかけた。