Sober from turn
「そういえばさ。」


食堂へ通じる廊下の途中、悠はおもいきった話をしだした。

「あ?」

「保高くんって御両親とかなにされてるの?」
ぎこちない仕草を誤魔化そうと思ったが、孝介は苦笑いしながら聞き返してきた。

「なに?そんな話、ききてぇの?」

「え、うんまぁ。話の種にと…」

すると、自慢するようでもなく語り出した。

「そだな。親父は確か…元々なんかの家元の息子らしくてさ。」


「はぁぁぁ!?家元の息子!?」

悠は顔が崩れるほど驚愕した。
しかし、孝介は慌てずにゆっくりと話を続けた。

「あぁ。結局は継がなかったらしいけど、それ系の関わりはある仕事とか言ってたな。難しいけど。」

難しいの一言で感じ取れた感情はただ一つだった。

「すごいんだね!うちなんかリーマンだよ!」

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