Sober from turn
「つまりは、俺も次期家元になるかもって話。そういう話が聞きたかったんだろ?」

食堂の入口から2番目のテーブルに腰を掛けながら、孝介は悠に目を配った。

「はい??」

悠もその目に促されるように、孝介のとなりの席に座った。

「俺はとある噂で有名らしいからな。」

孝介はメニューをみながら、係に手を上げて呼び掛けた。

「そりゃ…噂は聞きたいけども、家元の後継者ってのが噂?」


「それもある。」

「“も”?」

「噂は作られるからな。ただ、本当の話は1つか2つ。」

孝介はそう言って指を1本、2本と立てた。

「なになに?教えて!」

係りがメニューを聞く頃になって、孝介は返事を返した。

「さぁな。」

と、一言だけ。

「さ…?」
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