Sober from turn
「いやぁ。まさかココで会えるとはね。」

「………。」


ん!?“ココ”で会えるとは?

「あれま。珍しいじゃん。孝介くんがオンナノコを連れているだなんてさ?」


あたしがいる事が珍しいのってどんな男になったんだこの人は。


悠は心に怒りにも似た不思議な感覚を秘めて、話を黙って聞き続けた。

「俺はてっきり、長い方の子かと…」

「テメ…メシを食いにきたんじゃねぇのか?」

悠には何のキーワードが孝介のカンに触れたのか分からないが、しらんぷりしろと言っていた孝介に驚いた。

「もちろん…そのつもりで入ったけど。」

「なら、しゃべくってねぇでメシを食え!」

「………」

孝介の言葉で一気にさっきまでのテンションが落ちたのか、注文を係にしだした。

「食べ終わったか?」

急にそう聞かれ、後から頼もうと狙っていたデザートを後髪が引かれる思いで止めにして、さっさと食堂を後にする孝介を追いかけた。


「次の狙いは“あの子”かな?」

彼がそう呟いている事に食堂から去った二人は分かる訳もなかった。
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