鏡の国のソナタ
キッチンで、ジュージューと音がし始めた。

あいつがまた、なにかを始めたらしいが、それを確かめに行く気力はなかった。


先輩にそっくりな顔をした悪魔……。


そうだ。

あいつは、素奈多を困らせるために現れた悪魔なのかもしれない。


ソファにもたれてクヨクヨと考えていると、クランの足音が近づいてきた。

裸足の足がフローリングをぺたぺたと歩いてくる。

じっと見ると、彼の足は、親指よりも人差し指が長かった。

きっと、九嵐先輩の足もそうなんだろうなぁ、とぼんやりと思った。

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