鏡の国のソナタ
ごいん!

「てっ!」

クランの背後に、トレイを片手に抱えた素奈多が仁王立ちしていた。

右手の拳が燦然と輝いている。

「誰が、怒りんぼですって?」

猫なで声を作って、素奈多はクランに言った。

クランは、あちゃーという顔をして首をすくめた。

「おまけに凶暴……」

「もうっ!」

もう一度、素奈多は拳を振り上げた。

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