鏡の国のソナタ
「だろ~? 話わかるじゃん。俺なんかよー、突然、こんなとこに産まれちゃって、けっこう可哀想な身の上な訳よ。なのに、こいつときたら、てんで冷てーでやんの」

クランは味方を得たりとばかりに、花南に不幸な身の上を強調する。

素奈多は、ぷうっと頬を膨らませた。

「それは、あんたが変なことばかりするからでしょっ!」

「悪気があったわけじゃねーだろう? 俺だって、いろいろ気ぃつかってんだぜ?」

「……かもしれないけどっ……」

素奈多は恨めしそうにクランを睨む。

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