鏡の国のソナタ
花南は、いたずらっぽく笑って、クランの表情を仰いだ。

「素奈多の想い人が気になる?」

二人の前に、巨大な猫の着ぐるみを着たキャラクターが、風船を持って歩いてきた。

クランは花南の問いには答えず、風船をひとつもらってきて、花南に手渡す。

花南は目を丸くした。

「やだ。ちょっと嬉しい」

クランは照れたように笑った。

「ちょっとかよ?」

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