鏡の国のソナタ
「一五歳、女性。乗用車と接触。右大腿部開放骨折。頭部打撲。意識レベル良好」

救急隊員が、外国のドラマみたいにテキパキと素奈多の症状を医師に伝えていく。

開放骨折?

足を折って、もしかしたら、お肉の間から白い骨が覗いていたりするんだろうか……。

血がいっぱい出て、足がぐちゃぐちゃになっている映像が脳裏に浮かんだ。

気を失うくらい怖かった。

救急処置室のドアが開いて、素奈多を乗せたストレッチャーが中に滑り込んでいく。

「血液型、クロスマッチ四単位。右大腿部X線。頸部四方向。頭部CTをオーダー」

これまた白い服を着たおじさんが、指示を出していた。

素奈多は不安で、心細くて、痛くて、頭の中が真っ白になっていた。

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