鏡の国のソナタ
クランは迷った。迷ったので、本音を言うことにした。

「えーっと……。誘いに乗りたいのはヤマヤマなんだけどさ、なんか、すっきりしない……ってのは、君を傷つけない理由になる?」

花南はクスッと笑った。

まるで彼がそう答えるのを予期していたようだ。

花南は、さっきクランからもらった風船をクランの手に握らせた。

「ほら。これ持って、帰んなよ。ねぇ、クラン。あたしに優しくできるのに、どうして素奈多にはできないの?」

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