鏡の国のソナタ
クランは、ふっと真顔になった。

「あいつが好きなのは、憧れの先輩だろう? 俺はニセモノだからな……。イメージ違うほうがいんだよ」

花南は首をかしげた。

「ニセモノ? あの子だって、判ってると思うけどな」

クランは、ベンチから立ち上がった。

ちかちかとアトラクションの明かりがまばゆく明滅する空を仰いで、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

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