鏡の国のソナタ
――あたしが好きなのは先輩なのよ。あんなできそこないのクローンなんか……。あんな、乱暴で、意地悪で、エッチなヤツなんか……!

否定すれば否定するほど、涙が出てきた。

悔しいことに、その涙が止まらなかった。


そこへ、だらしない服装をした若者がふらりと素奈多の行く手を遮った。

「彼女、誰に泣かされたの? 彼氏とケンカでもした?」

素奈多がハッとして見上げると、鼻と唇にピアスをした男だった。

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