鏡の国のソナタ
「俺が、慰めてあげるよぉ~」

男の一人が素奈多の腕を掴んだ。

「やだ。離してっ!」

素奈多は必死に振り払おうともがいた。

「悪いヤツだなぁ、こんなに可愛い子を泣かすなんてなぁ」

抱きつこうとする男の手を、必死に素奈多は押しのける。

「やめてったら!」

素奈多は泣きながら抵抗した。

暗くなってから、よりによってこの裏通りを通ったのは自分の不注意だった。

誰のせいでもない。

自分が莫迦だったのだ。

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