鏡の国のソナタ
誰かに口を押さえられた。

反射的に、その手に噛みついた。

男が悲鳴を上げた。

「こいつ!」

ニヤついていた男がキレた。

殴られると思って、素奈多は目をかたく閉じて首をすくめた。

「たすけて……!」

怖くて、震えて、かすれた声しか出なかった。

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