鏡の国のソナタ
と、白目をむいた若者に遅れて、見覚えのあるサンダルが飛んできた。


サンダル?


「ぐえっ!」

もう一人も蹴り飛ばされて、道の脇のゴミステーションに沈んだ。

紙のゴミが舞い上がる。

酔っぱらいとはいえ、あっという間に三人をのしてしまった男のシルエットが、闇に浮かび上がった。


素奈多は、茫然として立ちつくした。

足がガクガクして、その場から動けなかった。

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