鏡の国のソナタ
■ 4 臨界へのカウントダウン
今日のクランは、早起きだった。

素奈多より先に目が覚めたので、目玉焼きでも焼こうかと、キッチンに立った。

卵をふたつフライパンに落として、じゅーじゅーやっていると、急に周囲の映像がぐるんと回った。

「げ……」

思わず目を閉じて冷蔵庫に寄りかかり、深呼吸する。

冷蔵庫で体を支えて、そっと目を開けた。目玉焼きの二つの黄身の輪郭がぶれて、四つ目に見える。

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